検索しづらいバンド、Bôa

今回紹介するのは、非常に検索しにくいロックバンドでおなじみ(?)、イングランドのロックバンド、Bôaです。Google先生は仕様によりサーカムフレックス(^←これです)付きの文字と大文字小文字は区別しません。そのため検索するとどうしても大韓民国のミュージシャンであるBoAの方に負けてしまう、なんとも不遇なバンドです。メジャーデビューはBôaの方が三年ほど早いのですがね。
BôaはドラマーのEd Hertenが中心に1993年に結成したバンドで、元はファンクをやっていました。しかし1994年にEd Hertenは脱退。代わりにLee Sullivanを迎え入れ、そのメンバーでメジャーデビューアルバムである「The Race of a Thousand Camels」を1998年に完成させます。フォークロックを基調としながらも、オルタナティブ、ファンクサウンドを取り入れた傑作です。

Bôa - Duvet
https://youtu.be/T0N5YblvT1c

この曲は彼らの唯一と言っていい代表曲で、日本のアニメである「serial experiments lain」のオープニング曲に使用されました。このため、日本国内国外でBôaはアニソンバンドのイメージが定着することになり、オタコンで演奏も披露したそうです。
それにしても、おしゃれで、アコースティックで、どこか憂鬱げなこの音世界。素晴らしいの一言に尽きます。The CranberriesとかBjorkあたりを連想させますが、本質はまったく違いますね。どこか古っぽいものが根底にあります(それはLed Zeppelinだったり、あるいは70年代のファンクロックだったりするのでしょう)。
ちなみに、Lee SullivanはRenaissanceのドラマー、Terence Sullivanの息子で、また、ボーカルのJasmine Rodgers、Steve RodgersはともにPaul Rodgersの子供です。二世バンドな訳ですね。

Bòa - Elephant
https://youtu.be/JUNbRqt77y4

同じく「The Race of a Thousand Camels」に収録されたこちらも隠れた名曲です。フォークロック感が強く出ていて、初期のJohn Mayerに近いところがあると感じます。1997年から2002年にかけての洋楽はこういうサウンドが多いですよね。

Bôa - Anna maria
https://youtu.be/HVyNBAz0NnI

またこの曲なんかは、プログレッシブフォークと言っても良いサウンドが展開されていますね。イスパニアを感じる…。Al Di Meolaとか好きな方は気に入るかもしれません。「The Race of a Thousand Camels」は本当にいいアルバムですがCDの入手は難しく、iTunesでも扱っていません。だけど聴きたい!というそんなあなたは、こちらの「Twilight」というアルバムがおすすめ。2001年に     PioneerからリリースされたBôaのスタジオアルバムですが、実質「The Race of a Thousand Camels」の曲順を変更した再編集版です。

https://www.amazon.co.jp/dp/B003YYONIY

この「Twilight」と「The Race of a Thousand Camels」を同じアルバムとすると、Bôaは解散までに二枚のアルバムを発表したことになります。一つは前述のアルバム、もうひとつは2005年に発表した最終作の「Get There」です。こちらはファンク色は鳴りを潜め、00年代プログレの空気が濃いです。前作から四年の時を経たBôaの集大成的作品なので聴いてみましょう。

Bôa - Angry
https://youtu.be/WHVzk74BKbo

この激しく華やかなサウンド!テンションが上がりますね。それでいてBôaの魅力は衰えていません。ボーカルのJasmine Rodgersの要素が大きいのでしょうね。現代風なサウンド(といっても2005年なので若干古臭くはありますが)を取り入れ、更にパワーアップしています。この手のサウンドは、MUSEとかFoo FightersRed Hot Chili Peppers辺りのバンドに影響を受けていますね。

Bôa - Daylight
https://youtu.be/aBrc1iXgfpc

この曲はザ・Bôaって感じの曲ですね。おそらくDuvetのようなイメージで仕上げたのでしょう。異国情緒あふれるギタープレイが展開され、そこに民族ぽいボーカルが乗っかる名曲です。残念ながらDuvetのようにヒットはしなかったようです。

その後、Bôaは2006年に活動を休止。残ったメンバーはそれぞれの活動を開始します。その中でもJasmine RodgersはCDを二枚発売しています。完全にフォークなので、バンドサウンドを期待すると拍子抜けしますが。
参考までに、彼女のホームページです。Bôaのボーカルとしての活動中に、彼女はNew Kingdom、PJ HarveyFugaziダンスミュージック、Nusrat Fateh Ali Khanを聴いていたようです。
http://jasminerodgers.com/about-2/

Jasmine Rodgers - Two Years
https://youtu.be/lnYzhavWEDc

いかがでしたか。この記事を書くにあたって、Bôaの数少ない作品を聴き直してみましたが、やはりこのバンドにしか出せないサウンドだなあ、と改めて実感しました。やっぱりBôaはサイコーです。