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80年代で最も売れたプログレ、ポリス

音楽

この記事タイトルを見て、あなたは何を連想しましたか?「ポリスって、スティングのバンド? 」、「同名のプログレバンド?」みたいなことを思われたのではないでしょうか。今回取り上げるのは『スティングのバンド』の方です。あの伝説的ロックバンドのThe Policeです。「まーたプログレ認定厨か」という声も聞こえますが、決してプログレ板の伝統的ジョークではなく、真面目な話ですよ。
※僕は「ビートルズプログレ(の一面も持つ)」と認識している人なので、そのあたりご了承ください。

さて、最初に聴いてほしいのはポリス最大のヒット作、「Synchronicity」収録の名曲「Every Breath You Take」ではなく、同じアルバムに収録されている「Mother」です。

 

The Police - Mother
https://www.youtube.com/watch?v=2A9RvEzCYoc

いかがでしたか。気持ち悪くて、おどろおどろしい雰囲気を放った曲ではないでしょうか。ちなみに、歌詞の内容は「母さんから電話の着信が止まらない。僕とデートする女の子はみんな母親になってしまう」とかいうとてもメンヘラ意味深なもの。若干エヴァンゲリオンを感じましたが、それはStingが心理学を題材にしてこの歌詞を作ったからでしょう。アルバムのタイトルであるSynchronicityだって、ユング心理学の用語であり、翻訳されて「共時性」と言われています。このテーマの分析はまた機会があるときにでも。

一応、Every Breath You Takeも聴いてみてください。最高のポップソングですが、歌詞はストーカーの心情を歌っているという解釈も可能で、Stingの闇を感じますね。

 

The Police - Every Breath You Take
https://www.youtube.com/watch?v=OMOGaugKpzs

歌詞はともかく、「Mother」はPoliceの中でもかなり風変わりな曲なことは確かです。この美しい曲の流れをぶち壊すサウンドを作った大戦犯は誰なのか。それはStingではなく、ギタリストのAndy Summersでした。

 

The Police - Omega Man
https://www.youtube.com/watch?v=uYk2UiwWeBI

もう、最高ですね。「Mother」を書いた人だとは思えません。コーラスをかけてテンションコードをかき鳴らすのは反則です。Husker DuとかDinosaur Jr.などを聴くと、直接的なり間接的なり、Policeから影響を受けたんだなー、と思ってしまいます(今挙げた二つのバンドはチラ聴き程度なので的外れなことを言ったかもしれません)。しかしどことなく怪しい感じが漂ってます。Soft Machineのギタリストを努めていたこともありましたから、やはり単純なロックギタリストではなかったのです。Police在籍中にはあのKing CrimsonのRobert Frippとコラボしたアルバムを発売しています。しかも二枚。

 

Andy Summers & Robert Fripp - I Advance Masked
https://www.youtube.com/watch?v=AOiuh2Upa8s

完全に80年代プログレのサウンドです。ミニマル・ミュージック的リズムと独特のリバーブがかかったサウンド、Brian Enoに影響を受けたと思われるアンビエント風な音世界。こんなギタリストをバンドに迎え入れようと思ったStingは色々と流石です。(ちなみに、Policeには結成時のギタリストでヘンリー・パドゥバーニという人がいたのですが、その人がバンドを脱退してスリーピース体制となったようです)結果的にAndy SummersのテクニカルなギターはPoliceの大きな武器となり、バンドは大成功を収めました。

プログレ系のメンバーがいるバンドは、全体が徐々にプログレ化する傾向があります。Policeでは、Stewart Copelandが正にプログレ系でした。

 

Curved Air - Desiree
https://www.youtube.com/watch?v=wBoNof3DUWo

活動を再開したイングランドプログレバンド、Curved Airで、Stewart Copelandは新メンバーとして参加。二年ほどドラムを叩いていました(後にCurved Airのボーカル、Sonja Kristinaと結婚。三人の息子を設けるも現在は離婚している)。若干、Policeのサウンドと共通する点があると思うのは僕だけでしょうか? プログレバンドのドラマーには珍しくもなんともないことですが、彼は作曲ができ、Police解散後は映画音楽のサントラなんかも手掛けたようです。

 

The Police - Contact
https://www.youtube.com/watch?v=Ex-09RPA2hM

Magmaなど、アヴァンギャルド系のプログレを彷彿とさせるサウンドですね。パンク色の強かった初期にも関わらず、気持ち悪いサウンドが鳴っています。ドラムプレイとしては、軽快なスネアドラムサウンドや、リムショットハイハット、シンバルを多用してのリズムの刻みに魅力がありますね。正直言って、ドラマーではないので間違ったこと言ってるかもしれないんですが……。このスタイルは「Regatta de Blanc」で特に顕著です。この人が欠けたらPoliceサウンドはなかった……。という以前のお話で、そもそもPoliceはStewart CopelandStingに声をかけて生まれたバンドなのでした。

結局、2/3のメンバーがプログレ畑、Stingもジャズ畑。なのに、ここまでクオリティの高いポップロックを作り上げられた。だから、と言い換えるべきでしょうか。
初期のストレートなパンクも十分カッコイイのですが、やはりメンバーの本領が発揮されたのは後期の二作品でしょう。「Ghost in the Machine」はテクノポップニューウェーブの端緒を開いた作品で、シンセサイザーの導入など意欲的な試みがされた作品でもありました。しかし、今回の記事のテーマは「プログレバンドであるPolice」に焦点を当てることです。ならば聴くべきなのは「Synchronicity」一択です。ビートルズに匹敵する音楽的クオリティ、それに付随してあるべき商業的成功。この作品が生まれたことは、三人の内、誰が欠けても成し得なかったでしょう。
「Synchronicity」は80年代最高のポップアルバムとしても聴けますが、あまりにも多種多様なそのサウンドは正にプログレッシブ。同様にPoliceもまた、80年代トップクラスのプログレバンドだったのです。