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ジョイ・ディヴィジョンにハマった話

ある日、僕はクラフトワークのヨーロッパ特急に類似するアルバムを探していた。無人島に一枚しかアルバムを持っていけないのなら躊躇なくこいつを上げるくらいのマイフェイバリットであるアルバム。こんな感じのサウンドに飢えていた。とりあえず僕はAllMusicを試してみた。

Trans-Europe Express - Kraftwerk | Similar | AllMusic

タンジェリンドリームやブライアンイーノ...大体おすすめアルバムは予想通りだった。しかし見慣れないアルバムを発見。それこそがジョイディヴィジョンのUnknown Pleasuresだった。まずアルバムジャケットに惹かれた。黒いアルバムに外れは殆ど無いのでとりあえず聴いてみることにした。

正直、最初は魅力がわからなかった。しかし繰り返し聴くごとに、そのサウンドにクラフトワークのコンセプトと同一のものを感じるようになった。僕は溢れ出す孤独感に魅了された。Showroom Dummiesのような暗いパンク。これこそが僕の求めるものだった。後に書くつもりだが、僕は自殺願望を持っている。おそらく厄介なメンヘラである。イアンカーティスの歌声はそんな僕にぴったりだった。曇り空の下、このアルバムをイヤホンで聴きながら街を歩いたとき、僕の世界は変容したのだ。刹那な美しさのとりこになった。中学生の時の経験がフラッシュバックする。自室に篭ってクラフトワークを流していたときに感じた孤独感。ジョイディヴィジョンを聴いているとき、その時と同じ感覚を得られたのだ。

後にわかったことだが、ジョイディヴィジョンのメンバーたちもヨーロッパ特急を聴いていたそうである。なるほど、サウンドが共通しているのも無理はない。いつかこの二枚をヨーロッパの曇り空の下で聴いてみたい。そんなことを考えながら英語とドイツ語を勉強する日々である。

検索しづらいバンド、Bôa

今回紹介するのは、非常に検索しにくいロックバンドでおなじみ(?)、イングランドのロックバンド、Bôaです。Google先生は仕様によりサーカムフレックス(^←これです)付きの文字と大文字小文字は区別しません。そのため検索するとどうしても大韓民国のミュージシャンであるBoAの方に負けてしまう、なんとも不遇なバンドです。メジャーデビューはBôaの方が三年ほど早いのですがね。
BôaはドラマーのEd Hertenが中心に1993年に結成したバンドで、元はファンクをやっていました。しかし1994年にEd Hertenは脱退。代わりにLee Sullivanを迎え入れ、そのメンバーでメジャーデビューアルバムである「The Race of a Thousand Camels」を1998年に完成させます。フォークロックを基調としながらも、オルタナティブ、ファンクサウンドを取り入れた傑作です。

Bôa - Duvet
https://youtu.be/T0N5YblvT1c

この曲は彼らの唯一と言っていい代表曲で、日本のアニメである「serial experiments lain」のオープニング曲に使用されました。このため、日本国内国外でBôaはアニソンバンドのイメージが定着することになり、オタコンで演奏も披露したそうです。
それにしても、おしゃれで、アコースティックで、どこか憂鬱げなこの音世界。素晴らしいの一言に尽きます。The CranberriesとかBjorkあたりを連想させますが、本質はまったく違いますね。どこか古っぽいものが根底にあります(それはLed Zeppelinだったり、あるいは70年代のファンクロックだったりするのでしょう)。
ちなみに、Lee SullivanはRenaissanceのドラマー、Terence Sullivanの息子で、また、ボーカルのJasmine Rodgers、Steve RodgersはともにPaul Rodgersの子供です。二世バンドな訳ですね。

Bòa - Elephant
https://youtu.be/JUNbRqt77y4

同じく「The Race of a Thousand Camels」に収録されたこちらも隠れた名曲です。フォークロック感が強く出ていて、初期のJohn Mayerに近いところがあると感じます。1997年から2002年にかけての洋楽はこういうサウンドが多いですよね。

Bôa - Anna maria
https://youtu.be/HVyNBAz0NnI

またこの曲なんかは、プログレッシブフォークと言っても良いサウンドが展開されていますね。イスパニアを感じる…。Al Di Meolaとか好きな方は気に入るかもしれません。「The Race of a Thousand Camels」は本当にいいアルバムですがCDの入手は難しく、iTunesでも扱っていません。だけど聴きたい!というそんなあなたは、こちらの「Twilight」というアルバムがおすすめ。2001年に     PioneerからリリースされたBôaのスタジオアルバムですが、実質「The Race of a Thousand Camels」の曲順を変更した再編集版です。

https://www.amazon.co.jp/dp/B003YYONIY

この「Twilight」と「The Race of a Thousand Camels」を同じアルバムとすると、Bôaは解散までに二枚のアルバムを発表したことになります。一つは前述のアルバム、もうひとつは2005年に発表した最終作の「Get There」です。こちらはファンク色は鳴りを潜め、00年代プログレの空気が濃いです。前作から四年の時を経たBôaの集大成的作品なので聴いてみましょう。

Bôa - Angry
https://youtu.be/WHVzk74BKbo

この激しく華やかなサウンド!テンションが上がりますね。それでいてBôaの魅力は衰えていません。ボーカルのJasmine Rodgersの要素が大きいのでしょうね。現代風なサウンド(といっても2005年なので若干古臭くはありますが)を取り入れ、更にパワーアップしています。この手のサウンドは、MUSEとかFoo FightersRed Hot Chili Peppers辺りのバンドに影響を受けていますね。

Bôa - Daylight
https://youtu.be/aBrc1iXgfpc

この曲はザ・Bôaって感じの曲ですね。おそらくDuvetのようなイメージで仕上げたのでしょう。異国情緒あふれるギタープレイが展開され、そこに民族ぽいボーカルが乗っかる名曲です。残念ながらDuvetのようにヒットはしなかったようです。

その後、Bôaは2006年に活動を休止。残ったメンバーはそれぞれの活動を開始します。その中でもJasmine RodgersはCDを二枚発売しています。完全にフォークなので、バンドサウンドを期待すると拍子抜けしますが。
参考までに、彼女のホームページです。Bôaのボーカルとしての活動中に、彼女はNew Kingdom、PJ HarveyFugaziダンスミュージック、Nusrat Fateh Ali Khanを聴いていたようです。
http://jasminerodgers.com/about-2/

Jasmine Rodgers - Two Years
https://youtu.be/lnYzhavWEDc

いかがでしたか。この記事を書くにあたって、Bôaの数少ない作品を聴き直してみましたが、やはりこのバンドにしか出せないサウンドだなあ、と改めて実感しました。やっぱりBôaはサイコーです。

80年代で最も売れたプログレ、ポリス

この記事タイトルを見て、あなたは何を連想しましたか?「ポリスって、スティングのバンド? 」、「同名のプログレバンド?」みたいなことを思われたのではないでしょうか。今回取り上げるのは『スティングのバンド』の方です。あの伝説的ロックバンドのThe Policeです。「まーたプログレ認定厨か」という声も聞こえますが、決してプログレ板の伝統的ジョークではなく、真面目な話ですよ。
※僕は「ビートルズプログレ(の一面も持つ)」と認識している人なので、そのあたりご了承ください。

さて、最初に聴いてほしいのはポリス最大のヒット作、「Synchronicity」収録の名曲「Every Breath You Take」ではなく、同じアルバムに収録されている「Mother」です。

 

The Police - Mother
https://www.youtube.com/watch?v=2A9RvEzCYoc

いかがでしたか。気持ち悪くて、おどろおどろしい雰囲気を放った曲ではないでしょうか。ちなみに、歌詞の内容は「母さんから電話の着信が止まらない。僕とデートする女の子はみんな母親になってしまう」とかいうとてもメンヘラ意味深なもの。若干エヴァンゲリオンを感じましたが、それはStingが心理学を題材にしてこの歌詞を作ったからでしょう。アルバムのタイトルであるSynchronicityだって、ユング心理学の用語であり、翻訳されて「共時性」と言われています。このテーマの分析はまた機会があるときにでも。

一応、Every Breath You Takeも聴いてみてください。最高のポップソングですが、歌詞はストーカーの心情を歌っているという解釈も可能で、Stingの闇を感じますね。

 

The Police - Every Breath You Take
https://www.youtube.com/watch?v=OMOGaugKpzs

歌詞はともかく、「Mother」はPoliceの中でもかなり風変わりな曲なことは確かです。この美しい曲の流れをぶち壊すサウンドを作った大戦犯は誰なのか。それはStingではなく、ギタリストのAndy Summersでした。

 

The Police - Omega Man
https://www.youtube.com/watch?v=uYk2UiwWeBI

もう、最高ですね。「Mother」を書いた人だとは思えません。コーラスをかけてテンションコードをかき鳴らすのは反則です。Husker DuとかDinosaur Jr.などを聴くと、直接的なり間接的なり、Policeから影響を受けたんだなー、と思ってしまいます(今挙げた二つのバンドはチラ聴き程度なので的外れなことを言ったかもしれません)。しかしどことなく怪しい感じが漂ってます。Soft Machineのギタリストを努めていたこともありましたから、やはり単純なロックギタリストではなかったのです。Police在籍中にはあのKing CrimsonのRobert Frippとコラボしたアルバムを発売しています。しかも二枚。

 

Andy Summers & Robert Fripp - I Advance Masked
https://www.youtube.com/watch?v=AOiuh2Upa8s

完全に80年代プログレのサウンドです。ミニマル・ミュージック的リズムと独特のリバーブがかかったサウンド、Brian Enoに影響を受けたと思われるアンビエント風な音世界。こんなギタリストをバンドに迎え入れようと思ったStingは色々と流石です。(ちなみに、Policeには結成時のギタリストでヘンリー・パドゥバーニという人がいたのですが、その人がバンドを脱退してスリーピース体制となったようです)結果的にAndy SummersのテクニカルなギターはPoliceの大きな武器となり、バンドは大成功を収めました。

プログレ系のメンバーがいるバンドは、全体が徐々にプログレ化する傾向があります。Policeでは、Stewart Copelandが正にプログレ系でした。

 

Curved Air - Desiree
https://www.youtube.com/watch?v=wBoNof3DUWo

活動を再開したイングランドプログレバンド、Curved Airで、Stewart Copelandは新メンバーとして参加。二年ほどドラムを叩いていました(後にCurved Airのボーカル、Sonja Kristinaと結婚。三人の息子を設けるも現在は離婚している)。若干、Policeのサウンドと共通する点があると思うのは僕だけでしょうか? プログレバンドのドラマーには珍しくもなんともないことですが、彼は作曲ができ、Police解散後は映画音楽のサントラなんかも手掛けたようです。

 

The Police - Contact
https://www.youtube.com/watch?v=Ex-09RPA2hM

Magmaなど、アヴァンギャルド系のプログレを彷彿とさせるサウンドですね。パンク色の強かった初期にも関わらず、気持ち悪いサウンドが鳴っています。ドラムプレイとしては、軽快なスネアドラムサウンドや、リムショットハイハット、シンバルを多用してのリズムの刻みに魅力がありますね。正直言って、ドラマーではないので間違ったこと言ってるかもしれないんですが……。このスタイルは「Regatta de Blanc」で特に顕著です。この人が欠けたらPoliceサウンドはなかった……。という以前のお話で、そもそもPoliceはStewart CopelandStingに声をかけて生まれたバンドなのでした。

結局、2/3のメンバーがプログレ畑、Stingもジャズ畑。なのに、ここまでクオリティの高いポップロックを作り上げられた。だから、と言い換えるべきでしょうか。
初期のストレートなパンクも十分カッコイイのですが、やはりメンバーの本領が発揮されたのは後期の二作品でしょう。「Ghost in the Machine」はテクノポップニューウェーブの端緒を開いた作品で、シンセサイザーの導入など意欲的な試みがされた作品でもありました。しかし、今回の記事のテーマは「プログレバンドであるPolice」に焦点を当てることです。ならば聴くべきなのは「Synchronicity」一択です。ビートルズに匹敵する音楽的クオリティ、それに付随してあるべき商業的成功。この作品が生まれたことは、三人の内、誰が欠けても成し得なかったでしょう。
「Synchronicity」は80年代最高のポップアルバムとしても聴けますが、あまりにも多種多様なそのサウンドは正にプログレッシブ。同様にPoliceもまた、80年代トップクラスのプログレバンドだったのです。

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どうも。Twitterとかその他諸々ありますが、一応、初めましてと言っときます。

病気なのかもよく分からない、流行性の風邪みたいなのにかかった結果こんなブログを立ち上げるに至ってしまいました。

このブログは所謂「日記」とは違います。何故か。僕が思う「日記」というものはその神秘性を保つからこそ価値を持つものです。したがって、玉石混交したネットの海に放流する駄文はそれに該当しません。電脳世界のノイズの中に沈み込み、見失ってしまうほど無価値な記録なんてものは、僕の日記帳の中にはありません。そんなものをわざわざ書くなんて、シャープペンシルの芯の無駄ですよ。

かといって、その無価値で凡庸でくだらない感情を持ち合わせていない訳ではありませんでした。ノートに書くほどでもない安い思索を吐き出す先が、僕には必要だったのです。指で文字を書いた瞬間、打ち寄せる波にさらわれて人の痕跡を隠す砂浜。このブログはそんなところになると思います。

承認欲求を抱えた無気力な僕が、ノージャンルに気になったことを書いていく予定です。